APAGARD Anniversary
2005年1月号
アパガード20年を振り返って
アパタイトと宇宙

アパタイト歯みがきを思いついたきっかけは?とよく聞かれます。

サンギは1974年の創業当初、特許売買を行っており、海外を含む様々な特許技術の発掘に従事していました。そしてその当時、“特許の宝庫”といわれたアメリカの国家航空宇宙局(NASA)に注目したのです。

彼らは資金集めの一環として、今でいうところの「産学協同」「大学ベンチャー」や「民間への開発特許の売却」に当るプロジェクトをスタートさせていました。その一つが、宇宙飛行士の歯や骨が脱重力・脱引力の関係でもろくなってしまうという問題に関する研究です。宇宙には駆け込める歯科医院もありませんので、むし歯になると大変困ったことになります。ですから宇宙飛行士は全くむし歯のない人か、完全に治療を行った人である必要があったのです。

NASAはとりわけむし歯の充填材として、歯や骨の主成分であるハイドロキシアパタイトに着目。歯と同じ成分を合成できれば、完全密着型の充填材(フィラー)を提供できると考え、このアイデアを特許化しました。

1978年、サンギはこの特許を購入し、早速、歯科大学、歯科材メーカーなどに紹介を開始。その中で、完全密着型フィラー、つまり歯と同じ成分なら歯みがき剤にすれば、唾液の働きとあいまって、歯の表面にすり込まれるのではないかという発想が浮かび上がったのです。また当時サンギは、ある化粧品会社の市場開発業務も手がけており、歯みがきに関する新しいアイデアを常に求められていたこともヒントになりました。

特許やアイデアは突然降ってわいて来るものではなく、既存の技術からヒントを得る、別の角度から見てみる、といったプロセスを辿るものですが、アパタイト歯みがきもまさにそうでした。もちろん、歯の微小欠損の充填、再石灰化というアイデアは、当時、非常に突飛な考え方でした。しかし、とにかく有り得るのではないか、研究をやってみて面白いのではないか、という思いにとらわれて自社でプロジェクトを立ち上げました。
そして、85年の商品化、93年の薬用成分の認可取得といった20年の道のりを経て、現在のナノテク・アパガードに到っています。

ちなみに21世紀に入ってから、日本版NASAである宇宙開発事業団(NASDA)において、アパガードに使用されているハイドロキシアパタイトが実験的に使用されるようになりました。これは、無重力の宇宙空間で歯みがきすると、飛び散った歯みがき剤や唾液がプカプカと浮遊して不衛生で、機内や宇宙ステーション内を汚染する可能性があるからです。また、口をすすぐ水も宇宙空間では大変貴重な資源でもあります。

そのため、NASDAでは歯みがきに変わる口腔衛生の手段として、むし歯菌の除菌システム、−口腔内をむし歯菌の存在しない状態にしておく−に着目したわけです。これもアパタイトが歯の汚れを吸着除去できるという特質を利用したものです。

宇宙から生まれた技術が再び宇宙へ。ハイドロキシアパタイトと宇宙をつなぐ、不思議な縁を感じています。
ページトップへ PAGE TOP
Close
Close