【歯垢】 しこう

歯垢 歯みがきをさぼったときに歯の表面がネバネバします。

それはむし歯の最も重要な原因である歯垢の形成によるものです。歯垢は近頃、「プラーク」や「バイオフィルム」と呼ばれることもあります。その正体はむし歯菌や歯周病菌の塊で、1gの歯垢の中には約1000億個以上の菌がいるといわれています。

約300年前の1683年には、オランダ人のアントニー・ヴァン・リーウェンホーク(Antony van Leeuwenhoek)によって、歯垢の中には丸い形の菌、細長い形の菌、ラセン状の菌がいると
報告されています。

歯垢の約75%が菌、そして約20%は菌が作り出した粘着物質(グルカンやフルクタンという多糖類)で、これが歯表面のネバネバの原因となります。この粘着物質は菌にとってとても重要で、外界からの影響を受けなくするバリアーの役目をします。

このバリアーができてしまうからこそ、唾液が浸入できなくなり、菌の作った酸が歯垢の中に溜まり、歯の表面のエナメル質を溶かし、むし歯が発生することがあります。歯垢を除去することは、むし歯予防の絶対条件なのです。

また、歯垢の中に含まれている一部の菌種が、心臓や脳などの疾病の起きた病変部に発見されています。このことから、現在は歯垢とこれらの病気との因果関係を解明すべく、多くの研究が進められています。じつは歯垢は、お口の中だけの問題ではないようです。
 

歯石

歯石 「歯石」というと、「歯の石」と書くぐらいですから硬いものを想像すると思いますが、どうしてできるのでしょうか。

身体全体を考えると、腎臓や胆嚢などの臓器にも「石」ができます。腎臓結石の大部分はしゅう酸カルシウムという化合物から石ができ、胆嚢結石の場合は、コレステロールが原因でできるそうです。では、お口の中でできる「歯石」はどうでしょう?

歯石ができはじめるのは、歯垢が最大の原因です。歯石がいきなりできるのではなく、まず歯の表面に歯垢ができて放置されているとその歯垢の中に唾液からのカルシウムとリンが沈着し、どんどん硬くなっていくことで歯石という塊になってしまいます。

一般的に歯石のできやすい場所は歯垢の取りにくいところ、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目です。そして歯垢と同じように歯石の中は細菌だらけです。

特に歯周病を引き起こす原因菌のすみかとなっています。ですから歯と歯ぐきの境目に歯石ができると、歯茎が腫れ、歯周病になってしまうことがあります。そしてそのままにしておくと、歯を支えている骨が溶けて歯が抜けてしまうことさえあります。

歯石が厄介なのは、一度できてしまうと歯医者さんに取り除いてもらうしかないという点にあります。 歯と歯ぐきの健康を守るために、できてしまった歯石を取り除いてもらい新たな歯垢と歯石の形成を防ぐことが大切です。

ちなみに古代人のミイラからも歯石が見つかっており、あのヒポクラテス(B.C.400)も「歯石は歯肉の炎症を引き起こす」と指摘しています。古代の人々も歯石によって引き起こされる歯周病に悩まされていたことがわかります。
 

歯垢の吸着除去

歯垢は、エナメル質表面に唾液中の細菌が付着して始まり、最初に付着した細菌が増殖して小さな半球状のかたまりをつくります。

この歯垢は、唾液から新たな細菌を取り込み増殖を繰り返しながら、エナメル質の表面を広く厚く覆うようになります。そして歯面を広く覆った歯垢は、むし歯や歯周病など様々な疾患、さらに口臭の原因になると言われています。

ですから歯垢の形成を抑え、除去することが、むし歯や歯周病を予防しお口の健康を守る一手段になります。

歯垢を取り除くには、歯ブラシやフロスなどを使ったケアが必要です。歯ブラシが届かない部分には、歯垢(むし歯菌や多糖類) を選択的に吸着して除去する成分を配合した歯みがき剤を使用することでも、歯垢を減らすことができます。

歯垢が付着して2~14日頃からしだいに硬くなっていくと言われています。歯石になってしまってからでは、個人で行うブラッシングなどで除去することが出来ず、歯科医院で機械的に除去してもらわなければなりません。歯石になる前の歯垢の吸着除去がとても大切です。
 
歯垢の吸着除去 薬用ハイドロキシアパタイト<mHAP>の作用の1つ「エナメル質表面に付着した歯垢の吸着除去」モデル図