【歯髄】 しずい

「歯髄」(しずい dental pulp)とは、俗にいう歯の神経のことです。歯の中心に位置し、象牙質で囲まれた歯髄腔にあります。 歯髄腔とは歯の神経である歯髄が入っている腔所です。
 

歯髄の構成成分

歯髄は、歯冠にある歯冠部歯髄と歯根にある歯根部歯髄に分けることができます。色調は血液の色により赤く、80%の水分と20%の細胞内外の成分を含む有機成分からなります。
 

歯髄の形成過程

歯髄の発生は胎生8週目、つまり妊娠2ヶ月ごろ、歯乳頭の間葉性細胞から始まり、歯冠形成期から切縁や咬頭頂の領域で、象牙質を形成する象牙芽細胞に分化します。
しだいに分化が根突方向へ進むと、周囲の細胞との区別が明確にされます。やがて歯根象牙質の形成が始まり、歯乳頭が象牙質に囲まれると容積が減少し、歯髄と呼ばれるようになります。
 

歯髄の構造

歯髄は組織学的に疎線維性結合組織です。

等質で透明質な半流動性の基質と、主である膠原線維、膠原前線維、コルフの原線維と、歯髄細胞とその他(円形細胞、組織球、未分化間葉細胞など)からなり、象牙質に接する歯髄表層は、表層から深層に向かって象牙芽細胞、細胞稀薄層、細胞稠密層の3層から構成されます。
 

歯髄の役割

刺激は、エナメル質から象牙細管に侵入した神経線維と歯髄組織を介して、人の中枢に伝達されることで知覚します。

歯に加わる色々な刺激を感知することよって痛みからむし歯などの疾患を気付かせたり、歯髄内に存在する免疫細胞が細菌に抵抗したり、侵襲に対して第二象牙質を形成するなど、歯髄組織は防御機能を講ずる役割も担っています。
 

歯髄へのダメージ

歯髄炎には痛みを伴う急性疾患と痛みの乏しい慢性疾患があります。

 ・歯髄充血 歯髄炎の前駆症状。自発痛なし。

 ・急性単純性歯髄炎 歯髄に細菌感染なし。鈍い自発痛あり。

 ・急性化膿性歯髄炎 歯髄に細菌感染あり。自発痛が激しい。(C2以上)

 ・慢性潰瘍性歯髄炎 急性化膿性歯髄炎の軟化象牙質の被覆象牙質が破壊され歯髄が外部と接している状態。自発痛なし。(C3)

 ・慢性増殖性歯髄炎 若年者に見られる歯髄炎で歯髄が炎症の反応として肉芽状に増殖したものをいう。(C3)

 ・歯髄壊死、歯髄壊疽 歯髄壊死に細菌感染による腐敗発酵が伴うと歯髄壊疽となる。


歯髄が健康であるか病的状態にあるかを正しく診断することは、修復や補綴処置(人工物で補う事)など治療を成功させるために重要なことです。