エナメル質えなめるしつ
歯冠の一番外側、表面を覆う部分。エナメル質(えなめるしつ、Enamel)は、人体の中でもっとも硬い組織です。
このエナメル質、象牙質、歯髄の3層構造で歯はできています。その色は半透明で、歯が白く見るのはエナメル質の下にある象牙質が透けて見えるためです。エナメル質の厚みには個人差がありますが、だいたい2~3ミリ程度です。

エナメル質の構造と構成成分

口腔内に露出した歯冠の表面を覆うエナメル質は、人間の体の中でもっとも硬い組織(モース硬度は6~7)として知られれていますが、実は意外とデリケートです。
歯の外層であるエナメル質の97%はハイドロキシアパタイトというリン酸カルシウムの一種からできています。滑らかに感じるエナメル質の表面も、電子顕微鏡で見ると実はつま楊枝の束のように無数の「エナメル小柱」からなっています。
この「エナメル小柱」切歯や臼歯といった歯の種類によって異なりますが、およそ800万本~1,200万本あります。
写真では白黒に見えますが、エナメル質は実際には半透明です。歯が白く見えるのはその下の象牙質(乳白色)が透けて見えるからです。
エナメル質へのダメージ
歯の美しさと健康のカギはこのエナメル質です。強すぎるブラッシングや硬い食べ物でミクロの傷がついたり、歯垢から出る酸で、エナメル質内部のミネラル成分が溶け出したりと、日々微細なダメージにさらされています。
そうなるとエナメル質の表面は曇り、図1で表したように光の透過や屈折が鈍くなるため、透明感と輝きを失い、みずみずしく見えるはずの象牙質の白さは損なわれてしまいます。
さらに、エナメル小柱の隙間にむし歯菌が生産した酸が入り込むと、内部からハイドロキシアパタイトが溶け出し小柱構造が崩れ、初期むし歯そしてやがて穴があく実際の むし歯になってしまいます。
